韓国人人質事件は次のような経過をたどりました。
7月19日、長い間、内戦状態が続いているアフガニスタンで、布教活動を兼ねてボランティア活動をしていた韓国人のキリスト教信者23人が、バスに乗って移動中、ガズニ州の道路で武装勢力タリバンに拉致されました。
韓国政府は事件が発生した翌20日に対策本部を設けるとともに、21日には盧武鉉大統領がCNNなどを通じて人質の解放を求める緊急声明を出すなど、事件の早期解決に向けて機敏に対応しました。
しかし、アフガニスタン駐留韓国軍の撤退を求めるタリバンによって、人質のうち男性2人が相次いで殺害され、緊張が高まりました。
現地入りした韓国政府の代表団は、事件発生から23日目の8月10日、ガズニ州の赤十字社の事務室でタリバンの代表と直接交渉を開始し、韓国軍の撤退を求めていたタリバンの要求が、アフガニスタン政府によって収監されているタリバン兵の釈放に移りました。
これに対してアフガニスタンとアメリカの大統領が会談して「テロに対する譲歩はない」という原則を改めて確認して、事態は足踏み状態となりました。
そしてタリバンとの2回目の直接交渉の後、人質のうち女性2人が解放され、その後、人質事件は打開に向けて急展開しました。
結局、タリバンは、タリバン兵の釈放は韓国政府の権限ではできないという韓国側の説得に応じ、8月28日、韓国政府とタリバンは、アフガニスタンに駐留している韓国軍の年内撤退や、アフガニスタンでの布教活動の中止などで合意に達し、3-4人ずつに分散して抑留されていた19人の韓国人人質は30日まで順次、解放されました。
韓国政府は憲法で定められている国民を保護する義務を誠実に果たしましたが、23人というこれまでにない大人数の人質を解放するため、タリバンというテロ団体と交渉を行うという望ましくない前例を残しました。
また韓国政府が巨額の身代金を払うことでタリバンと合意しているという推測や、9月中旬に始まるイスラム教の断食、ラマダンに合わせて、アフガニスタン政府がタリバン兵の一部を赦免の形で釈放することに合意しているという情報もあり、論議を呼んでいます。