台風15号の直撃を受けた韓国では山崩れで住宅が土砂に埋まるなどしてこれまでに120人が死亡し、74人が行方不明になるなど、台風の被害としては1959年以来の大きな被害となっています。今後調査が進むにつれて死者や行方不明者はさらに増えることも予想されています。台風15号は強い勢力を保ったまま31日午後韓国全羅南道コフン地方に上陸し、南から北へ縦断する形で1日午後北東部の江原道ソクチョ市から日本海へ抜けました。済州島では瞬間最大風速56.7メートルを記録した台風15号は、韓国のほぼ全域で20メートルから30メートルの暴雨と強い雨で、特に台風の進路の北東部にあたる江原道カンルン市では897ミリという観測史上最高の雨量を記録しました。この暴風と雨で各地で山崩れや河川の氾濫などが相次ぎ、KBSのまとめによりますと2日午後3時現在、死亡120人、74人が行方不明となっています。住宅の倒産や床上床下浸水などの被害も2万5千世帯およそ7万人に上っています。また韓国の交通の動脈、ソウルと釜山を結ぶ国鉄 京釜線など8つの路線では線路が流されるなどして京釜線ではとりあえず単線で運転されています。さらに道路も京釜高速道路を始め11の路線で山崩れや土砂崩れのため一部の区間が不通となるなど、大きな被害が出ています。 韓国では今月21日最大の年中行事、旧暦のお盆、秋夕を迎えますが、鉄道と道路の全面復旧には相当の日数がかかるものと見られ、秋夕連休中の帰省客や物資の輸送にも影響がおよぶことが心配されています。韓国政府は台風15号による被害復旧のため被災者に対する税制や金融支援を積極的に行うことになりました。また被災者に対する医療診断と防疫、防災を実施することになりました。政府はこのため追加の予算を編成することを検討することにしています。一方、台風被害復旧のため韓国陸軍が大規模な支援に出ており、全国的に3万3千人の兵士が重装備250台を動員しての復旧作業を繰り広げています。ところで、釜山では、台風15号による強い風でアジア大会のメインスタジアムなど4つの競技場が被害を受けたことがわかりました。釜山アジア大会の組織委員会は2日、メインスタジアムのドームの一部が損傷を受け、ホッケー競技場やハンドボール競技場、バスケット競技場などもスタンドの上の屋根が吹き飛ばされる被害を受けました。また競技場周辺の緑地帯も植木が倒されるなどして、大会への影響が心配されています。