大邱(テグ)地方裁判所金泉(キムチョン)支部は、韓国最大の企業、三星(サムソン)電子の李健熙(イ・コンヒ)会長に対して、グループの衣類メーカー「第一(チェイル)毛織」に損害を与えたとして、130億ウォンの賠償を命じる判決を言い渡しました。
この裁判は、第一毛織の株主3人が李健熙会長を相手取って起こしていたもので、1996年に李健煕会長が三星電子の経営権を息子に継承させようと、三星電子の大株主になっているテーマパークの会社、エバーランドに転換社債を発行させた際、第一毛織に対して、予定していたエバーランドの転換社債の買収を断念させました。
このため第一毛織は利益を得る機会を逃したとして、137億ウォンの賠償を李健熙会長に対して求めていました。
この裁判について大邱地方裁判所金泉支部は18日、原告一部勝訴の判決を言い渡しました。
判決によりますと、被告の李健熙会長は、息子と娘に多額の贈与税が課税されるのを逃れて、グループの経営権を継承させようと、エバーランドに不当に安い価格で転換社債を発行させるとともに、第一毛織にはこの転換社債の買収を断念させたとして、損害賠償の責任があるとしています。
また「エバーランドが転換社債を発行した当時、エバーランドと第一毛織のいずれも経営状態は良好で、エバーランドはその前も後にも転換社債の発行はなかった。転換社債の適切な価格や株式に対する価値評価が行われなかったうえに、これを決めた取締役会も定足数に達していなかった」としています。
この判決はエバーランドの転換社債の安値発行による経営権の継承疑惑について、ほとんどが無罪となっていたこれまでの判決とは大きく異なるもので、一連のほかの訴訟にも影響を及ぼす可能性が出てきました。