1999年に韓国の現役の将校4人が、北韓に逮捕、または拉致され、軍事機密が北韓側に流れたとする証言が出され、波紋を呼んでいます。
これは、1998年まで対北韓工作員をしていた当時の安全企画部の職員が、軍事機密を北韓に流失した罪で懲役7年を言い渡された裁判の控訴審で明らかにしたものです。
それによりますと、この被告の弁護人は、北韓を専門に取材していた元新聞記者を証人として呼び、「1999年に合同参謀本部の大佐を含む韓国軍の現役将校4人が北韓に拉致された事実を知っているか」と質問しました。これに対して、この元記者は「すべて知っている」と答えました。
弁護人側によりますと、「北韓は、拉致した韓国の現役将校 4人を通じて2000年初めに、韓半島で戦争が勃発した場合を想定してまとめた軍事作戦計画の「5027」を入手し、2004年には北韓内部でこの計画を公開している。このため元安全企画部の職員で対北韓工作員だった被告が、2005年に北韓の高官に、軍事作戦計画「5027」の機密情報を渡したとする検察側の主張は全く根拠がない」と主張しました。
被告は、1998年に当時の安全企画部を辞めた後、2005年にそれまで交流があった北韓の高官に軍事機密を渡した罪で起訴され、去年12月、ソウル中央地方裁判所で行われた1審判決で懲役7年を言い渡されていました。
現役の将校4人が北韓に拉致されたとする被告側の証言が事実である場合、政府や軍当局が10年以上もこうした事実を隠ぺいしていたことになり、さらに波紋が広がるものとみられています。