ベトナム戦争でアメリカ軍が使った枯れ葉剤の残りを在韓米軍基地に埋めたことが分かり、波紋が広がっていますが、この問題について調査している韓米共同調査団は16日、問題の米軍基地がある慶尚北道漆谷郡庁で記者会見し、住民が飲み水として使っている基地周辺の地下水から発がん物質のテトラクロロエテンが許容基準値の2.6倍検出されたと発表しました。
テトラクロロエテンは工業用の洗浄剤などに使われていますが、動物実験で、中枢神経を損傷し、癌を誘発することが確認されています。
関心が寄せられたダイオキシンについては、基地周辺の河川3ヶ所から検出されましたが、アメリカ環境保護局が定めた飲み水の許容基準値の3000分の1から3万分の1程度で、大きな問題はないとしました。
共同調査団の今回の発表について、環境専門家からは、枯葉剤のドラム缶を探したり、ダイオキシンの存在を確認する調査は意味がなく、より詳細な調査が必要だとする声が出ています。
労働環境健康研究所の関係者は、ダイオキシンは水に溶け込むのではなく、浮遊物質に付着する性質が強いので、水質検査では発見できないと指摘しています。
共同調査団は基地内に枯葉剤のドラム缶が埋まっているかどうかを地下を観測できるレーダーで調査するとともに、地下水の水質検査を進めており、その結果をもとに基地内の一部の地点でダイオキシンについての土壌調査をする予定です。
共同調査団の韓国側関係者は、アメリカ側が世論を意識して土壌調査に合意したが、調査地点は基地内のごく一部の区域に制限される見通しで、調査の対象もダイオキシンに限られているので、どれだけ実効性があるかは疑問だとしています。