現職の裁判官が内部のネット掲示板に韓米FTAが司法主権を侵害する恐れがあるとして、韓米FTAの再交渉に向けて担当チームを作ることを提案し、同調する裁判官が100人を超えています。
仁川(インチョン)地方裁判所のキム・ハヌル部長判事は、1日、裁判所内部のネット掲示板に「韓米FTAが司法主権を侵害する不平等な条約である可能性がある。法律の最終的な解釈を行う権限を持っている司法部がガイドラインを示す必要がある」と訴え、同意する裁判官が100人を超えた場会、大法院長に請願書を提出するという考えを示しました。
キム判事が指摘している条項は、ISD制度、つまり韓国に投資したアメリカの投資家が韓国の政策によって損害を被った場合、韓国政府を相手取って国際投資紛争仲裁センターに提訴できる国家訴訟制度についてです。
これに対して、同意を示す裁判官の書き込みが1日も立たないうちに100件を超えました。
一方、慶尚南道(キョンサンナムド)昌原(チャンウォン)地方裁判所の裁判官は、このほど自身のフェースブックに韓米FTAのうち国家訴訟制度について批判する意見を乗せたのに続いて、2日にはラジオ番組に出演し、「国家訴訟制度を認めるのは韓国の司法権を売るような行為だ」と主張しました。
こうした動きを受けて、司法部は2日、全国裁判長31人が出席する会議を開き、現職の裁判官がソーシャル・ネットワーキング・サービスや裁判所の内部掲示板、マスコミなどを通じて韓米FTAに反対する意見を表明していることについて対応を検討しました。
この席で梁承泰(ヤン・スンテ)大法院長は「司法部に与えられている課題は国民の信頼を確保することで、裁判に対する信頼は裁判官への信頼によるものだ」と述べて、最近の裁判官の意見表示に間接的に懸念を示しました。
そして非公開で行われた裁判長会議では韓米FTAに対する法律的な検討を法務部が担当している現状の中で、司法部が独自に担当チームを設けて、韓米FTAを論議するのが妥当かどうかについて検討したもようで、 司法部の今後の対応に関心が寄せられています。