検察と警察の捜査権の範囲を定めた新しい大統領令が1月1日から施行されましたが、大邱(テグ)の警察署が2日、検察庁から送られてきた事件の捜査を拒否したことで、検察と警察の対立が表面化しています。
大邱(テグ)の寿城(スソン)警察署は2日、大邱地方検察庁が送ってきた事件の受け付けを拒否したと発表しました。
この事件は組合員の補償金横領容疑事件で、検察は民間から寄せられた捜査依頼を受け付けたものの、慣例に従って直接捜査は行わずに警察にこの事件を送ってきました。
しかし警察は「検察が受け付けた内偵事件や捜査依頼の事件は、警察で受け付けを拒否することができる。またこの事件は検察で捜査を開始していないので検察による指揮の対象にはならない」として受け付けを拒否しました。
警察庁は改正された刑事訴訟法にもとづいて、「検察の内偵事件と捜査依頼事件は検察の捜査が開始される前の事件であり、検察による捜査指揮の範囲には含まれないため、警察は受け付けないものとする」とする実務指針をまとめて各警察署に伝達し、法律の枠内で検察による捜査指揮を最大限拒否するように指針を出しています。
これに対して最高検察庁は、「警察による内偵権限は保障するが、事後に必ず検察による指導を受けるようにした改正刑事訴訟法と新しい大統領令に従って、具体的な対策を練っている。こうしたことで国民に被害が及ばないよう早急に妥協点を探すよう努めるが、感情的な対応とみられては困るため慎重に対応する」と話しています。
検察と警察の捜査権の範囲をめぐっては、警察がすべての捜査について検察の指揮を受けるよう定めていた刑事訴訟法が去年6月に改正され、警察に事実上の部分的な捜査権が与えられました。
そして検察が警察を指揮する具体的な範囲については別途、大統領令で定めることになっていましたが、その後、閣議で警察に捜査権限を与えるものの、内偵を含めすべての捜査について事後に検察の指揮を受けるとすることで権限の調整案がまとまり、12月27日、それにもとづいて大統領令が出されたため、警察側の強い反発を招いていました。