EU=ヨーロッパ連合の執行機関である欧州委員会は31日、三星電子を対象に独占禁止法に違反していないかどうかの調査に入ったと明らかにしました。
三星電子は、EU諸国でスマートフォンなどの特許侵害でアメリカのアップルを相手取って提訴していますが、欧州委員会は、三星電子が特許侵害を主張する技術は標準特許であり、アップルに圧力をかける提訴が、ヨーロッパ市場の公正な競争を阻害した恐れがあるとしています。
標準特許は、すでに産業界で国際標準として一般化しているもので、EUは国際標準になった必須的特許技術を公平、妥当かつ非差別的な方式で誰にでも提供する義務があるとする「FRAND(フレンド)方式」を採用しています。
EU執行委員会は、三星電子が、3世代移動通信システムがヨーロッパで採択された1998年に、ヨーロッパ通信標準研究所に標準特許権を過度に主張しないと約束したにもかかわらず、去年ヨーロッパで特許侵害訴訟を起こしたと指摘しました。
欧州委員会は去年11月から予備調査を行っていたもので、これからの本格的な調査で、三星電子がEUの規定に違反したとの判断が示されれば、三星電子は、世界各地で展開しているアップルとの訴訟合戦で大きな打撃を受けることになります。
今回の欧州委員会の調査開始の発表は、三星電子がドイツの裁判所でアップルに相次いで敗訴するなかで行われたもので、注目を集めています。
一方、ドイツのデュッセルドルフ高等裁判所は1月31日、三星電子が自社の多機能端末に対するドイツ国内での販売差し止め仮処分の撤回を求めて去年8月に起した訴訟で、地方裁判所の仮処分決定を支持し、三星電子の主張を退けました。
三星電子はこの判決について、ドイツでは販売差し止めとなったモデルの代わりにデザインを変えたモデルを販売しているため、大きな影響はないとしています。
しかし、最近の相次ぐ敗訴に欧州委員会の調査まで重なり、アップルとの訴訟合戦の展望は明るくないとの見方も出ています。