韓国の通信最大手のKTは、パソコンの便利な機能とテレビが融合したスマートTVは使用するデータ容量が多く支障があるとして、三星電子のスマートTVのネット接続を10日から遮断しました。
KTによりますと、スマートTVを通じてネット網を無断で使うケースが増えており、この場合、インターネットTVより最大15倍の容量となる動画などのデータを伝送するため、通信量が許容範囲を超えてしまう恐れがあるとして、三星電子が製造したスマートTVによる多様なサービス機能を遮断したということです。
これによってKTのネットを利用している視聴者は、放送の視聴や超高速ネット網の利用はできますが、スマートTVの多様なアプリケーションは利用できなくなりました。
韓国でスマートTVはおよそ100万台普及しており、このうち10万台が実際にスマートTVのアプリケーションを利用しているものとみられます。
このようにスマートTVが普及してきていることから、KTなど韓国の通信会社は去年6月に三星電子やLG電子、アップル社などスマートTVのメーカーに対して、別途、通信網の使用料の支払いを求めていました。
これに対してLG電子はKTとの交渉に応じているものの、三星電子は通信網の整備費を支払わないという姿勢を示していることから、KTはまず三星電子のスマートTVの機能遮断に乗り出したとしています。
一方、三星電子は9日、「インターネットの中立性の原則合意が損なわれる恐れがある」というコメントを出し、KTの措置に法律的に対応すると反発しました。
インターネットの中立性はインターネットのネットワークを通じて伝送される通信はその内容やサービス、端末機の種類に関係なく、平等に扱うとした原則で、メーカーにも通信網の使用料を求める通信社と、インターネットの中立性の原則を守るべきだとする製造メーカーなどとの間で論議が続いています。
今回のKTの措置について、放送通信委員会は、KTが接続の制限を強行すれば、ユーザーの利益を不当に侵害するなど法律違反に当たる行為なのかどうかを検討し、対応措置を決めるとしています。