韓国放送公社KBSの鄭淵珠(チョン・ヨンジュ)元社長(66)が、経営がずさんだとして解任されたため、李明博(イ・ミョンバク)大統領を相手取って解任処分の無効を求めていた訴訟で、日本の最高裁判所に当る大法院は23日、解任処分を取り消す判決を出した原審を支持し、解任処分の無効が確定しました。
これで鄭淵珠元社長に対する解任処分は無効になりましたが、すでに2009年11月で任期が終わっているため復職は事実上不可能であるものの、損害賠償請求はできるものとみられています。
大法院は判決で、「経営判断を一部、誤った責任はあるが、受信料収入の停滞や広告収入の減少、支出の増加なども財政悪化の原因だったことを考えると、解任処分は裁量権を乱用したものだ」とする判断を示しました。
また「鄭淵珠元社長に対して解任処分の内容を事前に通知しなかったうえ、意見提出の機会を与えなかったため、手続き上の問題がある」としています。
しかし、解任そのものを無効にしてほしいという請求に対しては、裁量権の乱用や手続き上の問題が解任そのものを無効にするほど重大ではないという理由で認めませんでした。
鄭淵珠元社長は、2008年、ずさんな経営などを理由に国の監査院がKBSの理事会に解任を要求し、理事会の議決を経て大統領によってKBS社長を解任されましたが、解任は不当だとして訴訟を起こし、1審と2審で解任を取り消す判決を受けていました。
今回の判決を受けて鄭淵珠元社長は、「大法院の判決で解任措置は違法であり、これについての最終責任者は李明博大統領であることが確定した。李明博大統領は私と国民に謝罪し、相応の責任を取るべきだ」と述べました。