悪性の脳腫瘍と診断され、抗がん剤治療を受けていた三星電子の元従業員の女性が死亡しました。
半導体工場の労働者の人権を守る市民団体「パンオルリム」によりますと、三星電子の半導体組み立て工場で1997年から2003年までの6年間勤務し退職したことし32歳の元従業員の女性が7日、京畿(キョンギ)道富川(プチョン)市の療養施設で死亡しました。
この女性は、1997年に入社した際の健康診断では健康に異常がありませんでしたが、退職して7年後の2010年5月に悪性の脳腫瘍と診断され、2年間抗がん剤治療を受けていました。
この女性は、作業中、常に煙とベンゼンにさらされていたということで、2010年7月に勤労福祉公団に対して労災として認定するよう申請しましたが、去年、認定されないことが決まり、その後は三星電子を相手取ってソウル行政裁判所に労災訴訟を起こしていました。
パンオルリムの集計によりますと、この女性と3月3日に乳がんで死亡した36歳の元従業員の女性など、三星電子の半導体工場やLCD工場などに勤務し、その後、白血病やがんになって死亡した元従業員は55人いるということです。
一方、勤労福祉公団は先月、三星電子の半導体組み立て工場で、1993年からおよそ5年半勤務し、退職後に、再生不良性貧血で治療を受けていた37歳の元従業員の女性を、初めて労災として認定しており、三星電子も公団の決定を受け入れています。