BSE=牛海綿状脳症について、不正確な報道をした放送局に対し、一般的な精神的被害の補償などの責任を問うことはできないとする最高裁判所の判決が出されました。
韓国の最高裁判所である大法院は16日、国民訴訟人団がMBCを相手取って起していた損害賠償請求訴訟の上告審で、原告敗訴の原審判決を確定しました。
MBCテレビの時事番組「PD手帳」は、2008年、アメリカ産牛肉にBSEの危険があるとする内容を放送し、その後、アメリカ産牛肉の輸入再開に抗議する集会がソウルで2か月以上続くなど、韓国国内に大きな反響をもたらしました。
しかし、この放送内容に捏造や誇張があったことがわかり、放送通信委員会がMBCに対して視聴者に謝罪するよう命じ、裁判所も訂正・反論の報道をするように命じる判決を下し、MBCは2008年8月に謝罪放送を流しました。
これに対して、2400人あまりの視聴者が訴訟人団をつくり、食べ物に対する不安が高まり、健康権や幸福追及権などが侵害されたほか、大規模な集会が続いたため通勤の際に不便を強いられたなどとして、MBCに対してそれぞれ100万ウォンずつ賠償するよう求める訴訟を起しました。
1審と2審の裁判所は、「不正確な報道で不特定多数の視聴者が精神的苦痛を強いられたからといって放送局と制作スタッフに責任を追及することはできない」と判断し、原告の敗訴を宣告しましたが、原告側は上告して争っていました。
そして、大法院の裁判所は、16日、「一般視聴者の精神的苦痛を理由に放送局の違法行為責任を認めると、放送の自由を害し、自由な意見形成や世論形成の機能が阻害されかねない」として、原審を確定しました。