日本の植民地時代における韓国人の強制徴用に関連した訴訟で、日本企業に賠償の支払いを命ずる判決が相次ぐ中、韓国では、1965年の韓日請求権協定により、強制徴用と関連した賠償請求権の問題が解決済みと指摘する専門家もいて、政府が今後の対応に苦慮しています。
韓国では、今月1日、第2次大戦中に未成年者だった元勤労挺身隊の女性ら5人が労働を強いられたうえ、賃金を受け取っていないとして慰謝料を求めていた裁判で、光州(クァンジュ)地方裁判所が三菱重工業に総額6億8000万ウォン、6800万円の支払いを命じるなど、韓国人の強制徴用に関連した訴訟で、日本企業に賠償の支払いを命ずる判決が相次いでいます。
こうした裁判が確定した場合、韓国内の日本企業の財産を差し押さえるなどの事態や商事紛争に発展することも予想されるほか、日本政府が国際司法裁判所に提訴するなどの法的対応を取る可能性も出てきています。
これについて、韓国の国際法の専門家からは、1965年の韓日請求権協定により、強制徴用と関連した賠償請求権の問題は国際法上終結している問題であり、国内の状況が変わったからといって政府の立場を覆すわけにはいかないとの指摘が出ています。
また、2010年に制定された強制動員犠牲者特別支援法などの支援対象を拡大する方向で新たに関連法を制定し、政府が直接賠償に応じるなど、問題解決に直接乗り出すべきだとの声も出ていて、韓国政府としては、今後の対応に苦慮しています。