韓国南西部の珍島(チンド)の沖合いで起きた旅客船の沈没事故について、日本の海難事故の専門家は、旅客船が航路から外れたかどうかが事故原因を究明するうえで焦点となるとの見方を示しました。
このうち、大阪大大学院の長谷川和彦教授は17日、朝日新聞とのインタビューで、「今回の航路が本来の定期航路かどうかが、焦点になる」との見方を示しました。
また、長谷川教授は、旅客船の定期航路が通常、珍島から沖合100キロほどであるにもかかわらず、事故が珍島沖およそ20キロと近海で起きていることや、旅客船が濃霧のため出航を3時間ほど遅らせたとの情報に着目していて、「珍島周辺は岩礁がある浅瀬だ。遅れを取り戻そうと航路を変更し、岩礁に乗り上げた可能性は十分考えられる」としています。
また、海難事故に詳しい、東海大海洋学部の山田吉彦教授は、読売新聞とのインタビューで、船が沈む状況から、「左舷が暗礁にぶつかり、船体に亀裂ができた可能性がある。どうして暗礁が多い危険な地域を航海していたかわからない」としています。
また、事故当時、船内での待機を指示する放送が流れたという乗客の証言について、「船体が大きく損傷していることを船長が認識できず、多数の乗客を避難させる訓練も不十分だったのではないか」との見方を示しました。