韓国南西部の珍島(チンド)の沖合いで起きた旅客船の沈没事故で、これまでに28人の死亡が確認され、179人が救助されたものの、残り268人が依然として行方不明になっています。
また、韓国政府は、17日夜、AIS=自動船舶識別装置のデータを分析した結果を公表し、旅客船が浸水の始まる直前に急激に右へ旋回していたことを明らかにしました。
この事故は、16日午前9時前、韓国南西部の全羅南道(チョンラナムド)珍島の沖合いで、仁川(インチョン)から済州(チェジュ)島に向かって航行していた定期旅客船「セウォル号」(6825トン)が浸水とともに傾き始め、2時間20分ほどで転覆して沈没したものです。
「セウォル号」には、修学旅行の高校2年生男女325人と教員14人を含む乗客乗員合わせて475人が乗っていて、これまでに28人の死亡が確認され、179人が救助されたものの、残り268人が依然として安否の確認がとれていません。
この事故について、海洋水産部は、17日夜、AIS=自動船舶識別装置のデータを分析した結果、旅客船が救助を求める3分前、急激に航路を右に旋回していたことを明らかにし、この旋回で積み荷がいっきに片寄って船体が傾き、沈没につながった可能性もあるとみて調べを進めています。
一方、海洋警察庁や軍は、およそ500人のダイバーを使って安否のわからない人の救助・捜索活動に当たっていますが、強い潮の流れと濁った水に阻まれ、多くの人が閉じ込められているとみられる船内への進入もできなくなっているということです。
政府は、人命救助と捜索、船体の引き揚げ、事故原因の究明、乗客乗員の家族に対する支援など、事故の対応に最善の努力を尽くしたいとしています。