旅客船の沈没事故をめぐる報道姿勢をめぐり、韓国KBSでは、報道本部の本部長と部長級以下の幹部242人が役職からの辞意を表明するなどして、吉桓永社長の退陣を求めているのに対し、吉桓永社長は21日午前社内放送を通じて、自らの立場を説明し、辞任要求を拒否しました。
旅客船の沈没事故をめぐる報道姿勢をめぐって、混乱が続くKBSでは、これまでに報道本部の本部長とKBS全体の部長級以下の242人の幹部が吉桓永社長の退陣を求めて役職からの辞意を表明しているほか、報道記者らが19日午後から番組制作を拒否して、報道番組が縮小されるなどの支障が出ています。
こうした中で、吉桓永社長は21日午前社内放送を通じて、自らの立場を説明し、「大統領府青瓦台からの圧力は一切なかった」と述べ、職員からの辞任要求を拒否しました。
今回の旅客船沈没事故では、各メディアの報道ぶりをめぐって、国民の批判が高まり、取材にあたったKBSとMBCの記者とカメラマン160人余りが、これまでに、真実から目を背ける報道をしたとしてそれぞれ声明を発表し、遺族ら関係者や視聴者に対して謝罪と反省の意を示しています。
一方、犠牲者に関連して不適切な発言をしたとして職位から退いたKBSの前報道局長は16日、「海洋警察を批判する報道を控えるよう、大統領府青瓦台やKBSの社長から同時に指示を受けた。また社長からは’大統領の意思である’として辞任を迫られた」と述べていました。
また、ニュース・アンカー14人と、海外特派員24人も制作拒否に入っていて、KBSでは夜9時のメインニュースをはじめすべての報道番組が編成時間のおよそ3分の1から4分の1に縮小される影響が出ています。
吉桓永社長が辞任を拒否したことで、KBSの記者協会では、無期限の制作拒否に入るとともに、21日にはKBSにある二つの労働組合が、組合員4000人を対象にストライキの賛否を問う投票を始めていて、結果次第では報道だけでなく、番組制作にも支障が出ることが避けられない見通しで、混乱はさらに広がる様相をみせています。