張成沢(チャン・ソンテク)氏らの処刑が相次いだ北韓では、去年以降、少なくとも19件の死刑が執行されたことが分かりました。
これは、アメリカの政府系放送、ボイス・オブ・アメリカが22日、死刑廃止を支持するイタリアの人権団体「ハンズ・オフ・ケイン」がまとめた世界の死刑執行に関する報告書を引用して伝えたものです。
それによりますと、北韓では、去年少なくとも17件、今年の上半期に最低2件の合わせて19件の死刑が執行されたということです。
北韓の死刑執行に関する統計は、公式の資料がないため、メディアの報道をもとにまとめたもので、報告書では、金正恩第1書記の叔父で実質ナンバー2だった張成沢(チャン・ソンテク)氏と彼の側近の処刑などを例にあげ、去年は、主に政治的な理由で処刑が行われたと分析しています。
また、北韓では、麻薬の密輸や横領などの犯罪を犯した幹部をはじめ、食料を手に入れようと韓国や中国に脱出する住民も逮捕して処刑していると指摘しています。
「ハンズ・オフ・ケイン」の関係者は、ボイス・オブ・アメリカとの電話インタビューで、「北韓では2000年度以降、死刑の執行が減っていたが、2010年から再び増えている。これは、金正恩(キム・ジョンウン)第一書記が権力固めを図っているためとみられる」との見方を示しています。
一方、去年、全世界で執行された死刑件数は4100件あまりで、前の年に比べて3.5%増え、最も多かったのは中国、次いで、イラン、イラクなどの順となっています。