全羅南道(チョンラナムド)順天(スンチョン)市郊外の梅林で、変死して一部白骨化した男性が、沈没事故を起こした船会社の事実上のオーナーで指名手配中の兪炳彦(ユ・ビョンオン)容疑者(73)であることが確認されたことから、検察当局は、兪容疑者について「公訴権なし」との処分にするものとみられ、今後の捜査への影響が懸念されています。
ことし4月に起きた旅客船セウォル号の沈没事故で、検察は、5月22日、船会社の事実上のオーナーである兪容疑者について、合わせて1390億ウォン、およそ137億円余りの横領・背任・脱税の容疑で指名手配し、行方を全力で追及してきました。
また、兪容疑者は、船会社の経営上の不正だけでなく、セウォル号沈没に対する直接の法的責任も問われていて、合同捜査本部では、兪容疑者について、「清海鎮海運」の会長として、船体の増改築工事を指示し、沈没の原因とされる復原性や過積載の問題についても報告を受けていたことを突き止めていて、業務上過失致死の疑いで捜査を進めていました。
しかし、兪容疑者の死亡が確認されたことで、セウォル号沈没事故に対する責任を問うことができなくなることから、今後の捜査や事故の賠償などへの影響が懸念されています。
事故の犠牲者と遺族に対する被害の補償や捜索・救助費などの財源については、韓国政府が兪容疑者をはじめ、船会社の社長ら20人余りの財産、4000億ウォン、およそ400億円余りの仮差押えをソウル中央地方裁判所に請求し、すでに認めらています。