旅客船の沈没事故で、乗客を救助せずに脱出したとして殺人罪などに問われている船長ら乗組員に対する裁判で、修学旅行中に事故に遭って救助された高校生らが28日、証人として初めて出廷し、「乗組員による救助はまったくなかった」と証言し、厳しく罰してほしいと訴えました。
この裁判は、セウォル号の沈没事故で、乗客の救助活動をしないまま船から脱出したイ・ジュンソク船長ら4人が殺人罪で起訴されているほか、残り11人の乗組員についても遺棄致死や水難救護法違反などの罪に問われているものです。
裁判は、光州(クァンジュ)地方裁判所で行われていますが、28日の裁判は、修学旅行中に事故に遭って救助された高校生ら5人が証人として初めて出廷することから、学校に近い水原(スウォン)地方裁判所安山(アンサン)支所で、非公開で開かれました。
初めて証人尋問に立った高校生らは、事故当時の詳しい状況や脱出経路などについて、落ち着いた口調で証言していたということです。
このうち、事故当時の乗組員の指示について証言した高校生らは、船室に待機するよう指示を受け続けたと述べ、「危険な状況だと認識したが、経験豊富な乗組員の案内に従うべきだと思った。脱出するよう放送があったらより多くの人が助かったはずだ」と証言しました。
また、脱出する際、乗組員による救助はまったくなかったとして、乗客を置き去りにして船から脱出した乗組員を厳しく罰してほしいと訴えました。
29日には救助された別の高校生ら17人に対する証人尋問が行われます。