日本の東京国立博物館が、韓国の王の墓から盗掘したとみられる文化財を返還できないとする立場を表明したことを受けて、返還を求める韓国の市民団体は、日本での訴訟手続きを開始する見通しとなりました。
韓国の市民団体が返還を求めているのは、東京国立博物館が所蔵している、いわゆる「小倉コレクション」で、日本人の小倉武之助さんが1910年から1950年代に韓半島全域で収集した19世紀の朝鮮王室の貴重品1100点のうち、王の墓から何者かが盗掘したものとみられる34点です。
これらの文化財について、返還運動の事務総長を務める僧侶の慧門(ヘムン)氏は、今月初めに、東京国立博物館に対して、文化財の返還を求める文書を送っていました。
これに対し、東京国立博物館は18日、韓日請求権協定によって請求権の問題は、最終的かつ完全に解決されているとして、引き続き、「小倉コレクション」を保管すると伝えてきたということです。
これを受けて、慧門氏は、「韓日協定には、文化財の返還問題が終結したとの内容はないうえ、小倉コレクションは1981年に東京国立博物館に寄贈されたもので、韓日協定の請求権問題とは関係がない。日本の国立博物館が、盗難・盗掘の疑いがあるものを所蔵するのは正当ではない」として、日本の裁判所での訴訟手続きを開始したいとしています。