北韓の開城(ケソン)工業団地の自動車部品メーカで、労働者が有害物質による体調不良を訴え、作業が中止されていたことがわかりました。
統一部の報道官によりますと、ことし5月、開城工業団地の自動車部品メーカ2社の工場で、北韓の労働者数十人が作業中に発熱や頭痛などの症状を訴えました。このため開城工業団地管理委員会は、この工程の作業を中止させたということです。
問題となった工程は、ハンドルカバーなどの自動車部品を作る工程で、皮に熱を加える作業をしていたところ、労働者らが体調異常を訴え、有害物質によるものだと主張しているということです。
この報道官は、「北韓側はベンゼンが漏れたと主張しているが、確認したところベンゼンは使われていないことがわかった。北韓が現場の調査を拒否しているため客観的な調査ができず、労災に当たるかどうかはいまの段階では判断できない」としています。
開城工業団地管理委員会は、使われていた化学物質を採取して韓国で精密検査を行っているということです。
開城工業団地では、作業中にけがをする労働者が毎年10人から20人ほど出ていますが、有害物質によるとされる体調不良が発生したのは、今回が初めてです。
韓国政府は、開城工業団地の韓国企業が北韓側に毎年、賃金とともに、社会保障の費用を支払っているため、別途の補償はしないとしていますが、作業場の環境によるものと明らかになった場合は、作業環境の改善に努めると話しています。