日本の東京国立博物館が、韓国の王の墓から盗掘したとみられる文化財を返還できないとしていることについて、南北の仏教団体は、一緒になって返還を求めていくことになりました。
南北の仏教団体が返還を求めているのは、東京国立博物館が所蔵している、いわゆる「小倉コレクション」で、日本人の小倉武之助さんが1910年から1950年代に韓半島全域で収集した19世紀の朝鮮王室の貴重品1100点のうち、王の墓から何者かが盗掘したものとみられる34点です。
これらの文化財について、返還運動の事務総長を務める韓国の僧侶の慧門(ヘムン)氏は、8月に、東京国立博物館に対して、文化財の返還を求める文書を送りましたが、東京国立博物館は、韓日請求権協定によって請求権の問題は最終的かつ完全に解決されているとして、引き続き、「小倉コレクション」を保管すると伝えてきたことから、慧門氏は、東京簡易裁判所に調停を申し立てたものです。
調停裁判は5日に東京簡易裁判所で行われ、慧門氏は、「小倉コレクション」の一部は、盗難・盗掘されたものであることが明白で、日本の国立博物館が所蔵するのは正当ではない」として、返還を求めました。
また、慧門氏は、北韓の仏教団体「朝鮮仏教徒連盟中央委員会」との共同声明を裁判所に提出しました。
共同声明では、「略奪された文化財の返還を求めるのは、わが民族の権利であり、国際的な法的義務だ」として文化財の返還を求めたほか、南北の仏教界が一つとなって、盗難・盗掘されたすべての文化財の返還を目指して共同活動を展開していくとしています。