韓国の大韓航空の趙顕娥(チョ・ヒョナ)前副社長が、乗務員のナッツの渡し方に激怒し、航空機を引き返させた事件の裁判で、前副社長に12日、懲役1年の実刑判決が言い渡されました。
趙顕娥被告は、去年12月、ニューヨーク発仁川(インチョン)行きの自社の旅客機に搭乗した際、ナッツを袋のまま出されたことがマニュアルに違反していると激怒して、滑走路に向かい始めた機体を搭乗口に引き返させたとして、航空保安法違反などの罪に問われています。
検察は、趙被告の行為は、運航の安全を脅かす「航路変更罪」にあたるとして、懲役3年を求刑していました。
これに対し、趙被告側は「飛行機が動いていたのは知らなかった」と主張し、一般的に航路は空路だけを意味するもので、航空機は離陸しておらず、航路変更罪は適用できないと反論しています。
12日に開かれた判決公判で、裁判所は、「地上路は移動中の航空機の離陸前の移動路に該当する。被告は、機内の案内放送を通じて航空機が動いていることをしっていた。空路だけが航路だとする被告側の主張は認められる理由がなく、動き始めた航空機を無理に引き返させたことは航路変更罪と認められる」として、懲役1年の実刑を言い渡しました。
また、裁判所は、もし、ほかの航空機が動いていたら、衝突する可能性もあったとして、業務妨害罪も認めました。
判決を受けて、大韓航空側は、「判決について言うことはない」としています。