北韓が開城(ケソン)工業団地の労働者の賃金を一方的に引き上げたのは、正当な法的権利の行使だとして、南北の当局間の協議を経なければならないとする韓国政府の要求を受け入れない姿勢を示しました。
北韓は去年11月に「開城工業地区労働規定」を改定し、最低賃金の引き上げ率の制限を撤廃したのに続いて、先月24日には、北韓の労働者の最低賃金をことし3月から月70.35ドルから74ドルに引き上げると韓国側に通知してきていて、これに対して韓国は、当局間の協議を通じて解決すべき問題だとして、開城工業団地の共同委員会の開催を提案していました。
北韓の開城工業団地の指導機関の「中央特区開発指導総局」の報道官は12日、北韓の政治宣伝用サイト「わが民族同士」の記者とのインタビューで、開城工業団地の労働規定の一方的な改定は正当な法的権利の行使だと主張しました。
この報道官は、北韓の主権が行使される開城工業団地で、北韓の立法権に対して韓国と協議する理由はまったくなく、法律の制定権はなおさら、交渉の対象ではない」と強調しました。
またこの報道官は、韓国政府の開城工業団地の共同委員会の開催の提案については、「われわれへの戦争演習の傍ら、われわれと向き合って共同委員会を開くというのは、冒涜だ」と非難しました。
さらに、賃上げを求める北韓の業者に対して制裁を加えるという韓国政府の方針について、「恐喝であり、工業団地の発展を妨げようとする行動にほかならない」と主張しました。
この報道官は、「改定した最低賃金は、北韓の労働者の技術や技能の水準、生産性、ほかの国の経済特区の水準に比べるといまだに低い。韓国はこれに感謝すべきだ」と述べました。