北韓が、南北経済協力事業の一つである開城(ケソン)工業団地で働く北韓の労働者の賃金を一方的に引き上げるとしていることについて、政府は19日、韓国側の開城工業団地管理委員会と北韓側の中央特区開発指導総局との協議によって解決を図っていくことを検討しているもようです。
統一部当局者は19日、記者らに対し、「賃金については、韓国側の開城工業団地管理委員会と北韓側の中央特区開発指導総局が協議して決めるように労働規定に定められており、この方法を積極的に検討する考えだ」と述べました。
また、この当局者は、「改定前の労働規定では、毎年5%の範囲内で賃金を調整できるようになっているが、北韓が通知してきた賃上げ幅は5.18%で、そのギャップが大きくないだけに、開城工業団地管理委員会と中央特区開発指導総局の間の協議では歩み寄りの余地があるだろう」としています。
さらに、この当局者は、「賃上げの幅よりも、労働規定そのものを一方的に改定したことが大きな問題だというのが韓国政府の立場」としたうえで、「労働規定の改定は、当局間の協議が必要なこと」と指摘し、労働規定の改定など制度の改善については、今後、南北当局間の協議によって解決を図っていく考えを示唆しました。
一方、北韓が一方的に賃上げを通知してきたことに関連し、開城工業団地で操業している韓国企業の代表団は18日午前、現地入りし、北韓側の責任者と面談しました。
面談で、韓国企業の代表団は、北韓に対し、労働規定の改定と賃上げ問題を解決してほしいと求めたのに対し、北韓側は、「労働規定の改定は最高人民会議で決まったもので、主権事項だ」と主張し、実質的な成果はなかったということです。
北韓は去年11月に関連の労働規定を改定し、最低賃金の引き上げ率の制限を撤廃したのに続いて、先月24日には、北韓の労働者の最低賃金を今月から引き上げると一方的に通知してきました。