北韓を逃れて韓国入りした脱北者を強く非難していた北韓当局が、このところ、脱北者の韓国での生活が厳しいことを強調し、北韓への帰還を促す動きをみせています。
北韓の対韓国窓口機関、祖国平和統一委員会の韓国向け宣伝サイト「わが民族同士」は2日、「韓国で脱北者は人間以下の扱いを受けており、北韓に戻ろうとする熱望が高まっている」としたうえで、たとえ罪を犯した子どもでも、過ちに気付き、故郷に戻ろうとする人のために我々は扉を開けている」としています。
また、このサイトは、「苦難を乗り越えた祖国は、その間、様変わりした。脱北者の故郷や町は見違えるほど変わっており、親戚や友人も幸せな生活を送っている」と述べ、金正恩（キム・ジョンウン）体制に入ってから多少改善した経済状況をアピールしています。
これに先立って、北韓の民族和解協議会の報道官は28日、「わが民族同士」とのインタビューに応じ、「北韓に戻ってくる脱北者をいつでも受け入れる準備ができている」と述べ、帰還を促しています。
脱北者を裏切り者と非難していた北韓が、柔らかい語調で北韓に戻るよう促すことは、以前には見られなかったことで、脱北者を家族のいる北韓に戻すことで、国際社会から非難されている人権問題に対応しようとする狙いもあるものとみられています。
韓国に定着した脱北者は、北韓経済が最も厳しかった1990年代後半から年々増え続け、2009年には年間3000人以上に達し、このうち相当数は食糧難を理由に北韓を脱出したとされています。