アジアの人権団体「フォーラム・アジア」が、今月18日に行われたセウォル号沈没1周忌の追悼行事のデモ行進に対して、韓国の警察が催涙液などを使って鎮圧したことについて、遺族や市民の人権が侵害されたとする声明を発表しました。
フォーラム・アジアは27日、声明を発表し、「韓国の警察が放水砲や催涙液を使って鎮圧し、多くのけが人が出た。また警察が警察車両で『車の壁』を作るなどして行進を阻止したため、移動の自由が制限された」と主張しました。
この団体は、警察の行き過ぎた武力の使用は、国際人権規範に反すると指摘し、韓国政府に対して、国連の定める「法執行官のための行動綱領」や「法執行官による武力および火器の使用に関する基本原則」などを守るよう呼びかけました。
またこの団体の事務総長は、「韓国は一時、アジアの民主化の主役とされたが、最近の事例は、韓国の人権状況が後退していることを示している。韓国政府は、連行した人々への刑事処罰の方針を撤回し、セウォル号沈没事故の真相究明に向けて力を入れるべきだ」と促しました。
一方、韓国の警察は当時、「セウォル号沈没1周忌であるだけに追悼の雰囲気が保たれるよう集会に積極的に協力したが、道路の占拠などで多くの市民が不便を感じ、警察官への暴行でけが人が出るなど不法暴力集会となったため、厳しく対応する」と明らかにしています。
フォーラム・アジアは、アジアの16の国と地域に47の会員団体を持つ人権団体で、アジアの人権や表現の自由、集会の自由などに焦点を合わせて活動しています。