開城(ケソン)工業団地の北韓労働者の賃金引上げの問題をめぐって、北韓は、韓国当局が北韓の主権を侵害していると非難し、賃上げに応じない場合、北韓労働者が出勤拒否に出る可能性もあることをちらつかせました。
朝鮮中央通信は13日、北韓の開城工業団地の指導機関「中央特区開発指導総局」の報道官の談話で、「開城工業団地は企業による経済特区であり、韓国当局が干渉する理由はない」として韓国当局が北韓の主権を侵害していると非難しました。
続いてこの報道官は、「開城工業団地の年間の生産額はこの10年間で30倍以上も増えたのに対して、北韓労働者の最低賃金は1.5倍にしか増えていない。国際的にも賃金の未払いは刑事事件と扱われるだけに、賃金を決められた時期に支払わない企業に労働者が出勤しないのは当然のことだ」として、賃上げの問題が解決されない場合、出勤拒否に出る可能性もあることを示唆しました。
北韓が開城工業団地の最低賃金の引き上げについて言及するのは、ことし3月に「中央特区開発指導総局」の報道官が、北韓の政治宣伝用サイト「わが民族同士」の記者とのインタビューで、賃金引上げの正当性を強調して以来、2か月ぶりです。
これは、開城工業団地の4月分の賃金支給を前に、韓国政府が入居企業に対して賃金を韓国側の開城工業団地管理委員会に預けるよう求めたことを受けて、北韓が談話で、強硬な対応姿勢を示したものとみられます。
南北間の協議が事実上、途絶えているなか、入居企業の代表らは北韓の中央特区開発指導総局の関係者と話し合うために、15日、開城工業団地を訪れる予定です。