韓国の日本産水産物の輸入禁止措置をめぐり、日本がWTO=世界貿易機関に、紛争処理小委員会、いわゆるパネルの設置を求めていた問題で、韓国政府が、パネルの設置に同意しない方針を明らかにしました。
韓国産業通商資源部は現地時間の31日、スイス・ジュネーブで開かれたWHOの紛争解決機関の定例会合で、日本がWTOに求めていたパネルの設置に同意しない方針を明らかにしたということです。
パネルの設置は、WTOの紛争解決手続きで必ず経なければならない過程で、パネルが設置されれば報告書の提出などの手続きにつながります。
福島第1原発事故を受けて、韓国政府が、おととし9月から福島など8県の水産物の輸入を禁止していることについて、日本が、「科学的根拠がない」として、WTOへの提訴の前段階となる2国間協議を要請したため、両国はことし6月末に、協議を行ないましたが、溝を埋めることができませんでした。
日本の水産庁は先月20日、WTOにパネルを設置するよう要請しましたが、韓国が同意しなかったため設置は見送られることになりました。
韓国政府としては、国民の健康を保護するための韓国の輸入規制は、WTOの衛生植物検疫措置に合致するという立場で、今後、パネルが設置されることに備えて、日本の原発管理の適切性、日本産の食品の安全性などを徹底して分析し、政府の措置の正当性を裏付ける根拠とする考えです。
産業通商資源部の禹泰熙(ウ・テヒ)通商次官補は先月31日の記者会見で、「科学的な根拠にもとづいて、政府の措置の正当性を主張していく。政府の措置は貿易制限ではなく、原発事故といった特殊な事態のなかで、自国民の安全を確保するためのものだ」と説明しています。