大邱の地下鉄放火事件で、被害者の92%以上が乗っていたとされる放火された電車の反対側のホームに入ってきた1080列車の運転士が、現場から避難する際に、マスターコントロールキーで電車のドアを閉めたことが明らかとなり、波紋が広がっています。警察が21日発表したところによりますと、この事件で、亡くなったり、けがをした人の92.3%が、あとから反対側ホームに入ってきた1080列車の乗客で、最初に火災がおきた1079列車の死者は全体の7.7%に過ぎないことが分かりました。またこの運転士は、事件が発生した中央路駅に停車した後、自動的に開いたドアを煙を避けるためすぐ閉め、その後、電車を出発させようと地下鉄公社の指令室と交信しましたが、事態が悪化したため現場から避難する際に、マスターコントロールキーを抜いて電車のドアをすべて閉めたことが明らかになりました。地下鉄のマスターコントロールキーは、自動車の鍵と同様、始動をかけたり、ドアの開閉を行うなど電車の運転には欠かせないものです。警察の調べに対して1080列車の運転士は、「マスターコントロールキーを抜くとドアが閉まることは知っていたが、乗客が全員避難したと勘違いしてキーを抜いた」と話しています。しかし警察では「電車から降りる際に、キーをポケットに入れる日ごろの習慣から、無意識にキーを抜いたのではないか」とみて調べを進めています。また警察は、この運転士が、気温が低かったにもかかわらず、避難直後にキーの入ったジャンバーを同僚を通じて事務所に預けた点から、事件の真相を隠ぺいしようとした疑いについても調べることにしています。またこの運転士が、指令室との交信が途絶えた後、車内アナウンスをするまでの5分間、ひとりでホームのある地下3階から地下2階まで逃げ、再び電車に戻ってきた経緯についても調べることにしています。この事件による死者は133人、けが人は146人にのぼっています。