中国浙江省寧波にある北韓レストランの従業員13人が先月7日、集団で韓国入りしたのに続いて、中国にある別の北韓レストランの従業員がまた脱北したことがわかり、朝鮮労働党大会以降、北韓住民の間に金正恩(キム・ジョンウン)体制への不満が広がっているのではないかという見方が出ています。
北韓の消息筋が23日、明らかにしたところによりますと、中国にある別の北韓レストランの従業員2、3人が最近、脱北し、東南アジアの国で韓国への亡命を求めているということです。
北韓の中では中産階級以上の生活をしていた海外レストランの従業員が、相次いで北韓を逃れようとしているのは、極めて異例のこととされています。
今回脱北した北韓レストランの従業員は、今月はじめに平壌で開かれた朝鮮労働党大会以降、北韓を逃れたものとみられます。
こうした相次ぐ脱北には、ことし3月はじめの国連安全保障理事会の北韓制裁決議の採択以降、韓国政府が北韓レストランを利用しないよう呼びかけたことで、主な客だった韓国人の訪問が減少して収入が減り、経営難を強いられているなか、本国への送金の圧力が強くなったことが背景にあるとみられます。
韓国の国家情報院は先月27日、国会情報委員会に提出した報告書で、北韓制裁決議にしたがって、中国やアラブ首長国連邦などにある北韓レストラン20か所あまりが店を閉じるかまたは営業を停止していると明らかにしています。
北韓専門家の間では、去年から人民軍の将校や外交官、出稼ぎの従業員など北韓の中産階級以上のエリート層が相次いで脱北しているのは、金正恩(キム・ジョンウン)体制への不安が高まっているシグナルで、党大会をきっかけに、これまで積み重なってきた住民の不満が体制の安定性を損ねる可能性があるという見方も出ています。
今回の党大会で期待されていた「金日成(キム・イルソン)・金正日(キム・ジョンイル)主義」を超える、金正恩氏ならではの思想が提示されず、住民の生活向上のための青写真も示されなかった状況で、経済難まで重なり、住民の間に体制への疲労感が広がっているということです。