マーク・リッパート駐韓アメリカ大使の講演会での発言で、アメリカが大統領選挙を控えて、韓国に通商圧力を加えはじめているのではないかという見方が出ています。
リッパート大使は1日、ソウル市内で開かれた経済関連の講演会で、韓国固有の規制が、グローバル企業にコストや非効率性の問題をもたらしていると指摘しました。
また、こうした問題のため、グローバル企業が、FTA=自由貿易協定の締結にもかかわらず韓国への進出をためらっているとして、韓米FTAの完全な実行を求め、なかでも法律市場の早急な開放が必要だと強調しました。
講演には、通商担当の韓国政府の高官が大勢出席しており、アメリカが大統領選挙を控えて、通商圧力を本格化したのではないかという見方が出ています。
大統領選挙を控えて、アメリカの政界や産業界では、韓国など貿易黒字国への不満が噴出していて、ことし4月に、韓国を為替政策の「監視対象国」に指定し、韓国製の鉄鋼製品に反ダンピング(不当廉売)関税賦課の予備判定を下すなど、アメリカ政府の対応も積極的になっています。
2日に韓国を訪れたアメリカの財務長官も、柳一鎬(ユ・イルホ)経済副総理に、市場の開放を求めるとみられ、今後、両国間で通商摩擦が懸念されています。