中国の「北韓レストラン」の従業員12人がことし4月に集団で脱出して韓国入りし、現在、国家情報院管轄の施設に収容されている問題で、北韓の従業員らが自らの意志で韓国入りしたかどうかを問う審理が、21日、ソウル地方中央裁判所で行われました。しかし、北韓の従業員らが法廷に出席しなかったことから、審理は進展がないまま、中断されました。
北韓の従業員ら12人は、ことし4月に韓国入りしてから現在まで、脱北者が調査を受けながら滞在する国家情報院管轄の施設に収容されています。
市民団体の「民主社会のための弁護士会」は、先月24日、ソウル中央地方裁判所に対し、北韓の従業員らが施設に不当に収容されているとして、彼らの釈放を求める「人身保護救済申請」を出しました。
これを受け、ソウル中央地方裁判所は、当事者の意見を聞いて判断するため、国家情報院に対し、北韓の従業員の出席命令を出しましたが、従業員らは21日の審理に出席しませんでした。国家情報院は、裁判所に対して、今後も従業員らの出席は難しいとのことを伝えてきたということです。
「民主社会のための弁護士会」は、当事者抜きでは審理が不可能だとして、 従業員への出席命令を再び出すよう求めました。
しかし、裁判官は、出席命令を再び出す考えがないという立場を示したことから、「民主社会のための弁護士会」は、審理の手続きに問題があるとして、担当の裁判官を変えるよう求める裁判官忌避申請をし、審理は中断されました。
ソウル地方中央裁判所の関係者は、裁判部忌避申請について、妥当かどうかを判断し、今後の手続きについて、発表するとしています。