小説「サード」の作家、金辰明(キム・ジンミョン)氏が、アメリカの高高度迎撃ミサイルシステム「サード」の韓国配備について、「これからは政府と国民が真剣に悩むべきだ」と強調しました。
小説「サード」は、サードの配備をめぐる多角的な観点を提示しており、現実を基盤として書かれたものといわれています。この小説は、2014年8月に出版されたものですが、最近、サードの配備が決まったことで、再び注目を集めています。
金辰明氏は15日、連合ニュースとのインタビューで、サード配備の問題について「サードの問題はこれからが始まりだ。サードは単に北韓の核を狙ったものではなく、アメリカと中国が対決する構図の中で、韓国に入ってきた高度な政治外交の問題だ」とした上で「これからアメリカと中国の対立はさらにエスカレートしていく」との懸念を示しました。
金辰明氏は、小説の中で、アメリカが中国をけん制するために北韓の核による脅威を表向きの理由にあげて、韓国にサード配備を要求してくると書いていました。
金辰明氏は、今回のサード配備の決定について「軍人によって決定された面がある。サードは経済、外交的に大きな影響力があるにもかかわらず、中国との未来が十分考慮されなかったのは残念だ」と述べました。
その上で「重要なのは、中国やロシア、そして世界に向けて、北韓による核の脅威がなくなれば、サードを廃止するとの意志をはっきりすることだ」と述べました。
そして、「今回の教訓は、政府と国民が一緒に、真剣に悩んで結論を出すべきだったということだ。政府は全てを打ち明けて国民と議論すべきで、国民ももっと真剣に関心をもって考えるべきだ」と指摘しました。
一方、政府とアメリカは8日午前、「サード」を韓国駐留アメリカ軍に配備することを最終的に決定したと発表しましたが、野党は決定の過程で、国民の意見が十分反映されなかったと指摘しています。
また、国会の立法調査処も14日、「サード」の韓半島配備について、国会の同意が必要という見方を示していますが、政府は必要ないとしており、今後、議論を呼ぶものとみられます。