韓国系アメリカ人としてはじめて国際機関の長となった世界銀行のキム・ヨン総裁の任期が来年6月に終わり、後任選びが進められていますが、アメリカや中国、ドイツなど主要理事国の支持を受け、再任を果たす可能性が高いものの、内部の反発を乗り越えなければならないと、外国メディアが伝えました。
ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)とフィナンシャル・タイムズ(FT)が現地時間の9日にそれぞれ伝えたところによりますと、世界銀行は今月1日、非公開の理事会を開き、後任総裁の人選について議論し、アメリカ、中国、ドイツなど主な理事国は、キム・ヨン総裁の再任を支持したということです。
これについて、ウォールストリート・ジャーナルとフィナンシャル・タイムズは、キム・ヨン総裁の再任の可能性が高いとしながらも、再任までには、乗り越えなければならない障害が大きいと指摘しています。
世界銀行の職員組合は、理事会に送った書簡のなかで、「世界は変わった。われわれも変化しなければならない」として、総裁候補を国際的に広く公募し、透明な手続きを経て新たな総裁を選出するよう求めています。
フィナンシャル・タイムズは、キム・ヨン総裁が、内部の構造調整を推進したことや、伝統的な世界銀行の業務とされない、エボラ出血熱の拡大を防ぐ支援などにも取り組んだことなどから、内部からの批判に直面してきたと説明しました。
世界銀行の職員組合は、1万5000人の職員のうち、9000人が加入しています。
キム・ヨン総裁は1959年にソウルで生まれ、5歳の時にアメリカに移住し、ハーバード大学で医学博士と人類学博士の学位を取得、その後、国際的な医療活動に携わり、2009年にアメリカの名門大学ダートマス大学の学長を務めたあと、2012年に世界銀行総裁に就任しました。