アメリカの大統領選挙で保護貿易主義を掲げる共和党のドナルド・トランプ氏が当選したことで、韓国経済に及ぼす影響について関心が寄せられています。
韓国貿易協会など経済団体は、対米貿易で黒字が続いている韓国の政策について、トランプ氏が、「不公正な通商政策」だと批判していたことから、韓米FTA=自由貿易協定の再交渉や、為替操作国への制裁のような公約が現実化すれば、対外貿易への依存度の高い韓国は、大きな影響を受けると懸念しています。
専門家らは、なかでも韓国の主な輸出品目の自動車、鉄鋼、繊維産業などが被害を受けるとみています。
また政府系シンクタンクのKDI=韓国開発研究院は、2016年から2020年までの韓国の経済成長率について、トランプ政権が急進的政策を進める場合、これまでの見通しより年平均0.31ポイントの下落、緩やかな政策を進める場合は、0.14ポイント下落するとみています。
一方、トランプ氏は、任期中に1兆ドルに上る公共インフラに投資することや、医療消費者の利便性を高めるために海外の医薬品の輸入を認めることなどを明らかにしていて、韓国の公共インフラや医薬品輸出関連企業には好材料となりそうです。
柳一鎬(ユ・イルホ)経済副総理兼企画財政部長官は10日、ソウルの政府庁舎で開かれた経済懸案点検会議で、「トランプ氏の当選で世界経済と韓国経済の不確実性がさらに増す可能性がある」としながらも、「インフラ投資の拡大や製造業復活などの政策方向が韓国にとって新たなプラス要因になり得る」として積極的に貿易や投資を拡大する方策を模索すると述べました。