韓日関係は、去年末から再び冷え込んでいますが、両国が国内政治に圧され、外交が出来なくなりつつあるという指摘が出ています。
与野党の有力な大統領候補者たちが、韓日慰安婦合意を反故にすべきだと主張しているのに加え、最近、潘基文(パン・ギムン)前国連事務総長もメディアとのインタビューで「日本政府の支援金10億円が少女像の撤去を前提にしているものであれば、お金を返した方がいい」と述べています。
慰安婦合意が破棄されると、韓日関係のさらなる悪化、韓国の国際イメージ悪化などが予想されますが、こうした問題を指摘する政治家はほとんどいません。
そのうえ、韓国で独島(トクド、日本でいう竹島)に慰安婦を象徴する少女像を設置する動きが出ており、外交当局は頭を悩ませています。
両国の外交当局はともに、打開策を模索できない状況に置かれています。
韓国政府は、日本との間で韓日軍事情報保護協定(GSOMIA)を締結し、韓日米の安保協力を通じて北韓の核の脅威に対応しようとしていましたが、その観点からも今の状況は望ましくないという指摘が出ています。
国立外交院の関係者は、「今のように韓国と日本がぶつかり合えば、歴史を巡る衝突は避けられなくなる。こうなると、両国の外交関係は難しくなる」と指摘しています。さらに、アメリカのトランプ新政権発足で東アジアでの不安定さは増しており、韓日関係の正常化は必要だと強調しました。
また、外交部の関係者も「韓日関係を政治的、感情的にとらえず大局的な観点から問題解決の柱を構築すべきだ」と述べ、国内の政治と対外関係が連動していることに懸念を示しました。