朴槿恵(パク・クネ)大統領の親友、崔順実(チェ・スンシル)被告の国政介入事件をめぐり、三星グループの経営トップ、李在鎔(イ・ジェヨン)副会長(48)に対する逮捕状が棄却されましたが、法律専門家の間では、朴大統領の弾劾訴追を審理する憲法裁判所の判断に与える影響は少ないというのが大方の見方となっています。
特別検察官の捜査チームは、李副会長について、三星グループ内の企業合併に政府が協力する見返りに、朴大統領や崔被告側に合わせて430億ウォンの賄賂を供与しようとしたとして、裁判所に逮捕状を請求し、ソウル中央地方裁判所がこれを棄却したものです。
しかし、逮捕状の棄却は、李副会長が無罪であることを意味するものではなく、仮に、今後、李副会長の贈賄罪が認められず、朴大統領の収賄罪が成立しなくなった場合でも、大統領の「権限乱用」は弾劾の事由になると、専門家は指摘しています。
憲法裁判所は、朴大統領の弾劾事由を▼崔順実被告らによる国政介入に伴う国民主権主義・法治主義違反▼大統領の権限乱用▼旅客船「セウォル号」沈没事故に絡む生命権保護義務違反▼収賄など刑事法違反▼言論の自由の侵害の5つとしており、収賄はそのうちの一つに過ぎません。
一方、国会訴追委員団が証人の数を大幅に減らし、憲法裁判所が証拠を大量に採択したことで、弾劾審判に弾みがついています。
2004年の当時の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の弾劾審判では、1回目の弁論から7回目の弁論まで1か月かかっていますが、朴大統領の弾劾審判では16日と、大幅に短くなっていて、憲法裁判所が来月はじめに証人尋問を終え、来月中旬または下旬に判断を示す可能性もあるものとみられています。