罷免された朴槿恵前大統領が、収賄などの疑いで31日未明、検察に逮捕されました。
韓国の大統領経験者が逮捕されたのは、1995年の盧泰愚(ノ・テウ)氏、全斗煥(チョン・ドゥファン)氏以来、22年ぶり3人目です。
ソウル中央地方裁判所は31日未明、朴槿恵前大統領に対して請求されていた逮捕状について、「証拠隠滅のおそれがあり、逮捕の必要性と相当性が認められる」として、逮捕状を出すことを承認しました。
朴前大統領をめぐっては、親友の崔順実(チェ・スンシル)被告と共謀して三星グループから多額の賄賂を受け取った収賄をはじめ、崔被告が実質支配していた2つの財団に向けて、合わせて774億ウォンもの資金を拠出するよう財閥に強要した疑い、崔被告に国家機密の文書を渡した国家機密の漏えいなど13の容疑が持たれていて、先週、事情聴取を受けていました。
検察は、「大統領の地位と権限を利用した事件は重大であり、証拠隠滅のおそれもある」などとして、裁判所に逮捕状を請求し、これを受けて裁判所は、30日午前10時半から朴槿恵前大統領の出頭を求めて逮捕状を出すのが妥当かどうかを判断する審査を行いました。
朴前大統領は、8時間余りにわたって審査に出席し、この中で容疑を改めて否認したものとみられます。
裁判所は、朴前大統領が退席したあとも8時間あまり審議した末、31日午前3時すぎ、逮捕状を出し、前大統領は逮捕されました。
逮捕された朴前大統領は、31日午前4時半ごろ、待機していた検察の部屋を出て、車でソウル近郊にある拘置所に移送されました。
検察は、4月19日まで最長20日間、朴前大統領を拘束して捜査することができますが、大統領選挙に与える影響を考えて、公式の選挙運動が始まる4月17日までには捜査を終え、起訴に持ち込むものとみられています。
検察が朴前大統領を4月中旬に起訴すれば、本格的な裁判は5月9日の大統領選挙のあとに始まるものとみられます。
刑事訴訟法では、起訴した時点から1審の判決まで最長6か月間、被告人を拘束できると定めており、裁判所は遅くともことし10月半ばまでには判決言い渡しを目指すものとみられています。