アメリカの高高度迎撃ミサイルシステム「サード(THAAD)」の韓国配備に対する中国の報復措置の影響で、ことしの韓国の被害規模が8兆5000億ウォンに上る見通しだという分析が出ました。
民間シンクタンクの現代経済研究院が3日に発表した報告書によりますと、中国の経済報復措置により、韓国の被害額は、名目GDP=国内総生産の0.5%に当たる8兆5000億ウォンに上るものとみられるということです。一方、中国の被害規模は名目GDPの0.01%に当たる1兆1000億ウォンに上るとされています。
部門別で見ますと、観光部門への打撃がもっとも大きいと分析されています。中国はことし3月から韓国観光商品の販売を全面禁止する措置を取っていますが、この影響で韓国観光産業の損失額はおよそ7兆ウォンに上るものとみられています。中国を訪れる韓国人観光客も減っており、中国も年間およそ1兆ウォンの損失を被る見通しです。
その他の部門の被害規模は流通部門で1兆4000億ウォン、文化・コンテンツ部門で87億2000万ウォンに達するということです。
こうした分析について現代経済研究院の研究委員は、両国が感情的な対立を続けるのではなく、中長期的な協力方法を講じてこうした状況から脱するための出口戦略を考える必要があるとしています。