朴槿惠(パク・クネ)前大統領の親友で国政介入事件の中心人物、崔順実(チェ・スンシル)被告の娘、チョン・ユラ容疑者(20)が、韓国時間の31日早朝、滞在先のデンマークから韓国に強制送還される韓国機の中で検察に身柄を拘束されました。
チョン・ユラ容疑者を強制送還するためにデンマークに派遣されていた韓国の検察は、31日午前4時過ぎ、経由地のオランダ・アムステルダムの空港でチョン容疑者が韓国の司法権が及ぶ仁川(インチョン)行きの韓国国籍の航空機に搭乗した直後に、身柄を拘束しました。
チョン・ユラ容疑者は、去年末から崔順実被告の国政介入事件を捜査していた韓国の検察から逃れるため、それまで滞在していたドイツからデンマークに移りました。これに対して韓国の検察は自ら帰国することを求めましたが、チョン容疑者がこれに応じなかったため、検察はデンマーク政府に対して犯罪人引渡し請求をしていました。
デンマーク裁判所はこれを受けてことし1月、チョン容疑者の韓国への強制送還を命じる判決を下しました。しかしチョン容疑者は控訴し、これまでデンマーク検察に拘束されていましたが、5月24日、チョン容疑者が突然控訴を取り下げたため、強制送還されたものです。
チョン・ユラ容疑者は、朴槿恵政権の「影の実力者」とされていた崔順実被告の娘という身分を利用して、名門の梨花(イファ)女子大学に不正な方法で入学し、成績についても不正な優遇措置を受けていたほか、韓国最大の財閥、三星グループから支援を受けた容疑が持たれています。
検察はチョン容疑者をソウル中央地方検察庁に連行して取り調べることにしています。
刑事訴訟法上、容疑者に対する逮捕状は、拘束した時点から48時間以内に請求することになっているため、検察は6月1日未明に逮捕状を請求するものとみられています。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は国政介入事件の再捜査を示唆していますが、今回、チョン容疑者の帰国で、捜査が本格化するかどうかに関心が寄せられています。