文在寅(ムン・ジェイン)大統領が8日、就任から30日を迎えます。
この1か月を振り返りますと、文大統領はまず、朴槿恵(パク・クネ)前大統領の弾劾による5か月間の外交の空白を埋めるため、アメリカの高高度迎撃ミサイルシステム「サード(THAAD)」、慰安婦問題など中核懸案の解決に向けた土台づくりに注力しました。
また、長年の弊害を清算するために、検察、警察、国家情報院などの改革や、4大河川整備事業、サードの配備など前の政権が進めた事業の見直しにも乗り出しました。
ねじれ国会となっているなかで、文大統領が改革のスピードを上げることができたのは、世論の支持が高いことが背景にあります。
世論調査会社の韓国ギャラップが先月30日から6月1日まで、全国の成人男女1000人あまりを対象に文大統領の職務遂行について尋ねたところ、「うまくやっている」という評価は84%に上りました。
文大統領の今後の課題は、外交・安全保障の懸案や組閣への対処です。
今月下旬の韓米首脳会談を前に、サードの配備をめぐって両国の関係が揺らがないように、アメリカと緊密に調整することが重要です。
中国も韓国の政権交代をきっかけに、サードの韓国配備を撤回させようと外交、経済面での圧力を続けるとみられるため、このサードの問題への対処が、大統領の外交能力の試金石になりそうです。
また北韓の核問題では、韓米首脳会談で韓米両国が対話と圧力を並行するという対北韓政策で円満な合意に至るよう進めていくことが大事です。
こうしたなか、外交・安全保障を担当する閣僚の人事が決まらないことが不安要因となっています。
大統領府青瓦台の国家安全保障室長や外交部長官の人事で北韓の核問題の専門家が欠けていることや、いまだに国防部や統一部の長官候補が指名されていないことなど、外交・安全保障を担当する閣僚の人事を早急に行うべきだとする指摘が出ています。