就任後初めてアメリカを訪問している文在寅(ムン・ジェイン)大統領は30日、トランプ大統領と初めての会談をしました。
両首脳は、現地時間の30日午前10時20分からおよそ70分間、ホワイトハウスで、北韓の核問題や韓米FTA=自由貿易協定を中心に意見を交わしました。
会談のあとに行われた共同記者会見で、両首脳は、北韓の核問題の根本的な解決に向けて緊密に協力していくことで一致したことを明らかにしました。
会見で文大統領は、アメリカとの同盟関係をもとに、「韓米両国が北韓の核問題の解決を最優先課題に位置づけ、緊密に協力していくことで一致した」と述べました。
そのうえで、「北韓の挑発には断固として対応する」と警告する一方、「制裁と対話を活用した段階的かつ包括的なアプローチで、北の核問題を根本的に解決するという考え方で一致した」と述べ、北韓との対話の必要性にも言及し、対話を重視する文大統領が圧力をかける姿勢のトランプ大統領から一定の理解を得たことを会談の成果として強調しました。
これに対してトランプ大統領は、韓米両国で緊密に連携していく考えを強調しながらも、「忍耐は終わった。北韓という脅威から同盟国を守るため、韓国や日本などとともに幅広い分野で対応を取る」と述べ、問題解決に向けて、外交だけでなく、安全保障、経済など多方面で圧力をかけていく姿勢をのぞかせました。
また韓米FTAについて、協定を結んで以来、アメリカの貿易赤字が膨らんでいるとして不満をあらわにしてきたトランプ大統領は「会談で自動車や鉄鋼をめぐる難しい貿易問題について意見を交わした。文大統領が公正な競争環境の実現に取り組むだろう」と述べて、韓国とのFTAの見直しに意欲を示しました。
これに対して、文大統領は「両国の経済協力は同盟関係が発展するうえで重要な柱となっている」と述べるにとどまり、具体的な言及は避けました。
また、韓国での本格的な運用をめぐって溝のあるアメリカの高高度迎撃ミサイルシステム「サード(THAAD)」については触れませんでした。
今回の会談では、両首脳が北韓問題の解決の方法で歩み寄る成果があった一方、韓米FTAやサードが今後、両国間の課題になることを示唆しました。