旧日本軍慰安婦問題をめぐる一昨年末の韓国と日本の合意で、日本政府が拠出した10億円から被害者に支給された現金について、韓国政府は、「慰安婦被害者が現金を受け取っても個々人の請求権には影響しない」とする見解を裁判所に書面で提出しました。
慰安婦問題をめぐる一昨年末の韓日合意について、去年8月に慰安婦被害者12人が合意によって精神的・物質的な損害を受けたなどとして、韓国政府に1人1億ウォンの賠償を求める民事訴訟を起こし、ソウル中央地方裁判所は、去年12月、政府に対しこの合意が法的にどのような意味があるのか具体的に説明するよう求めていました。
これを受けて政府は、「慰安婦合意は被害者の個人請求権に影響を及ぼさない」とする立場を、ことし4月、裁判所に伝えています。
今回の改めての書面提出は、慰安婦合意で現金を受け取っても、それは賠償金には該当しないという立場を公式化したものと受け止められ、今後の韓国政府の対応に注目が集っています。現金支給については、韓国政府が認定する慰安婦被害者46人のうち、35人が受け取る意向を表明し、一部は支給が終わっています。