李明博(イ・ミョンバク)政権時代に、韓国軍のサイバー司令部が与党候補には有利で、野党候補には不利なコメントをネット上に書き込むなどの方法で政治に介入した事件で、検察の取り調べを受けていた当時の国防部長官、金寛鎮(キム・グァンジン)氏が、李元大統領の指示を受けたと供述したことが検察への取材でわかりました。
総合編成チャンネル「JTBC」が報じたところによりますと、金寛鎮氏は、検察の取り調べで、サイバー司令部を動員したネットへの書き込みについて、李元大統領の指示を受けていたと供述したということです。
国防部は2012年、およそ70人の要員をさらに採用し、活動を強化していましたが、当時の採用の基準についても、野党の地盤の全羅道(チョンラド)出身者を排除し、政府寄りの要員を採用するよう李元大統領が指示していたという疑惑が出ていました。
これについても、2012年の大統領選挙を前に当時の李大統領が、サイバー司令部の増員を指示したと供述したということです。
特に、出身地だけでなく、志願者の家族の政治的な性向も調べて、採用を行ったということです。
しかし、金寛鎮氏は、こうした活動の目的について、政治への関与ではなく、北韓とのサイバー戦の一環と認識していたとして、容疑を否定しているということです。
軍刑法では、軍人の政治への関与を禁じています。
検察は、金寛鎮氏の逮捕令状を請求したほか、当時の大統領府青瓦台安全保障首席室の関係者らを呼んで、さらに取り調べを行う方針です。
この事件については、4年あまりにわたって捜査が行われてきましたが、今回初めて、李明博元大統領の関与についての供述が出たことで、李元大統領も捜査の対象となる可能性が高まりました。