アメリカ政府が、韓国駐在アメリカ大使に内定していた、ビクター・チャ氏の指名を撤回したことについて、北韓への軍事攻撃をめぐる政府との意見の隔たりが影響したとイギリスとアメリカのメディアが報じました。
イギリスの経済紙「フィナンシャル・タイムズ」が現地時間の30日、報じたところによりますと、ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)の担当者らがチャ氏に対して、北韓への軍事攻撃に備えて韓国に住むアメリカ人の避難を支援する準備ができているかと質問したところ、チャ氏は、北韓への軍事攻撃について懐疑的な反応を示したということです。
アメリカの日刊紙「ワシントンポスト」も、人事案の撤回には、最近アメリカ政府内で検討されている「鼻血作戦」と呼ばれる対北韓限定攻撃に対する政府との意見の隔たりが働いたと報じました。
チャ氏は、30日に人事案の撤回が報じられた直後、「ワシントンポスト」に自ら寄稿し、「予防的な攻撃が解決策ではない」として、北韓への攻撃戦略に反対する立場を明確にしています。
チャ氏の起用が白紙に戻されたことで、トランプ政権の初めての韓国駐在アメリカ大使に、対北韓政策でどれほど強硬な人物が選ばれるか、関心が寄せられています。
一方、「ワシントンポスト」は、韓国政府からのアグレマン=外交上の同意を得る手続きも完了している人事案を撤回したのは異例のことで、トランプ大統領が一般教書演説で北韓への強硬姿勢を表明したことも踏まえて、アメリカが韓国政府の同意を得ずに北韓を攻撃する可能性があると懸念する声も出ていると報じました。