文在寅(ムン・ジェイン)大統領は19日の首席秘書官・補佐官会議で、韓国製を含む外国製の鉄鋼や太陽光パネル、洗濯機などに対しアメリカが輸入制限を強めていることに懸念を示したうえで、「断固とした」対応を指示しました。
文大統領は、「鉄鋼や電子機器、太陽光パネル、洗濯機など、韓国からの輸出品に対するアメリカの制限が拡大することで、世界的な競争力を持つにもかかわらず輸出に悪影響が出る恐れがあることを危惧している」としたうえで、「不合理な保護貿易措置に対し、WTO=世界貿易機関への提訴や韓米FTA=自由貿易協定に違反するかなどの検討を行うなど、断固たる姿勢で対応してもらいたい」と求めました。
これについて、大統領府青瓦台の関係者は記者団に対し、「大統領の考えは安全保障の論理と通商の論理は違うというもので、それぞれ異なった軌道に持っていくということだ」と説明しました。
南北首脳会談の実現に向けてアメリカ政府の協力を得るために、経済的被害を受け入れるのではないかという見方が一部で出ていることを意識した発言と受け止められています。
また、通商の専門家らは、韓国がアメリカをWTOに提訴しても結論まで時間が2年以上かかるなど、実効性が低いことから、文大統領の発言は、アメリカに対し、貿易問題で断固とした対応を取っていく姿勢を示す狙いがあるとの見方を示しています。
韓国政府に求められる対応として、専門家らは、「国際社会に向けて積極的に声を出し、アメリカに圧力を加えることで、交渉で優位に立つ必要がある」と指摘しています。