中国の知的財産権侵害などを理由にしたトランプ政権の対中制裁措置について、中国はアメリカからの輸入品に30億ドル相当の報復関税を課す姿勢を示すなど、両国間の緊張が高まっています。
世界の貿易でアメリカと中国が占める割合は23%に上り、事態が両国の「貿易戦争」に発展すれば、ほかの国々への影響は避けられず、世界経済が停滞することにつながるのではないかとする懸念が拡大しています。
一方、トランプ政権は22日、韓国、EU、カナダ、メキシコ、オーストラリア、ブラジルなど、同盟国の鉄鋼やアルミニウムについて、高関税付加を4月末まで猶予すると発表しました。
こうした措置は、これらの国々と進めている通商協定の見直しを有利に進める一方で、同盟国との経済面での結束を強化することで中国を孤立させる狙いがあるとされています。
アメリカは高関税賦課免除の条件として、△中国の通商分野の歪曲に積極的に対応すること、△アメリカと協力してWTO=世界貿易機関に中国の不公正貿易を提起すること、△アメリカとの安全保障面での協力を強化すること、などを挙げています。
韓国は鉄鋼とアルミニウムの高関税賦課をとりあえず免れ、アメリカが挙げた条件を飲む場合は、中国の「報復」も予想されます。
中国商務省は26日の公告で、アメリカや韓国から輸入されているフェノール類が中国国内の市場で正常価格よりも低い価格で販売され、中国の業界が損失を被っているとして、アメリカ、韓国、日本、EU、タイから輸入されているフェノール類について反ダンピング調査を進めるとしました。
韓国としては米中両国の措置に同時に対応していかなければならず、困難な状況となっています。
民間シンクタンクの現代経済研究院は26日の報告書で、経済大国のアメリカと中国の貿易戦争が本格化すれば、韓国の中国への輸出は20%減少し、全体の輸出も5%程度減るだろうとしました。