韓国が福島産水産物の輸入を禁止していることについて、日本がWTO=世界貿易機関に起こした訴訟の第1審で、WTOが、協定に反すると判定したことを受けて、韓国政府が上訴しました。
産業通商資源部は現地時間の9日、「日本の原発をめぐる状況、国民の食の安全の重要性などを考慮すると、WTOの判定に問題があるという立場だ。WTOの紛争解決手続きに従って上訴する」と明らかにしました。
韓国は2011年福島原発事故を受け、福島近隣で生産された農水産物の輸入を禁止し、2013年には福島近隣8県の水産物輸入禁止に関する特別措置を発表しました。
日本は2015年5月、韓国の特別措置が日本水産物を差別する行為であり、農水産物に対する追加検査の要求も正当でないとして、WTOに提訴しました。
WTOはことし2月22日、韓国が福島周辺8県の28種の水産物に対し包括的に輸入を禁止していることや、2011年と2013年に韓国が日本に追加検査を要求したことについて、SPA協定=衛生と植物防疫のための措置に反するものだと判断しました。
韓国政府は、上訴にあたり、WTOが協定に反すると指摘した部分について、韓国側の主張の根拠を補強したとしています。
最終審である上級委員会は、90日以内に判断を下すことになっていて、韓国政府は上訴の結果が出るまで、これまでの輸入禁止措置を維持する方針です。