朴槿恵(パク・クネ)前大統領の退陣を求めた市民らの大規模な集会を鎮圧するため、軍の情報部隊である「機務司令部」が戒厳令の布告を検討する文書を作成していた問題で、大統領府青瓦台は20日、ソウル都心の集会場所への戦車投入など、詳細な計画が記された新たな文書を公開しました。
この問題をめぐっては、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の指示を受け、独立した捜査を行う軍の特別チームが設置されていますが、文大統領は捜査とは別に、関連資料の提出も国防部に命じていて、これを受けて19日、国防部は青瓦台に新たな文書を提出し、公開に至ったものです。
青瓦台の報道官は20日の会見で、この文書には「戒厳令に関する段階別の詳細な計画や戒厳令の布告文もすでに作成されていた」と説明しました。
戒厳令は去年3月、当時の朴大統領の弾劾をめぐる憲法裁判所の審判を前に「機務司令部」が検討していたもので、計画は朴氏の弾劾棄却の場合を想定しています。
具体的には、重要施設494か所と主な集会場所となるソウル都心の光化門(クァンファムン)と国会議事堂がある汝矣島(ヨイド)に戒厳軍と戦車、装甲車を夜間に投入する内容が記されています。
このほか、情報機関の国家情報院や国会、報道機関などの統制、報道検閲の計画も盛り込まれていました。
今回の文書からは、戒厳令布告の詳細な計画や、戒厳布告文なども作成済みだったことから、「機務司令部」をめぐる波紋はさらに広がりそうです。